If歴史アナキスライヒ

　グラーツ協定はオーストリアのカール1世?ら改革派がクロアチア人有力者のスティエパン・ラディチ?らと結んだ協定。急進的な改革はバルカン情勢の不安定化を招き、後にユーゴスラビア紛争が起きる要因となった。

　オーストリア革命はカール1世ら改革派主導で進められオーストリア情勢は急速に情勢は変化しつつあった。この改革に連合国や周辺諸勢力が干渉する可能性は極めて高く、改革は困難を極めた。ハンガリー貴族を中心とする保守派の妨害を予測して、改革派はバルカン諸民族との関係を調整するべきと結論を出した。

　クロアチア人の有力者でハンガリー支配に抵抗するクロアチア共和農民党の代表スティエパン・ラディチ?は、セルビアがロシアの援助のもと独立した過去から、クロアチア人の独立にも大国の後ろ盾がなければ達成できないと考えていた。だが第一次世界大戦後期にはロシアやフランスなど旧勢力は衰退しており独立の機会をことごとく逃していた。

　1918年夏になるとロシアは無力化され同盟国が優勢たとなると二重帝国の諸民族は焦りを感じた。そんな中カール1世自らの譲歩は諸民族の妥協を引き出しオーストリア勢力圏の維持にこぎつけた。

　未回収のイタリア?を多く含むクロアチアは対イタリア、また地域立国セルビア?の脅威に対抗するために軍事力を必要としていた。またバルカン半島で一定の地位を築きたいと考えたスティエパンはオーストリアとの協力体制を全面的に構築した。オーストリアの軍事的庇護に入る一方でクロアチア北境が確定しクロアチアはオーストリア＝ハンガリー帝国から脱退した。

　しかしクロアチアの具体的な範囲は示されずそれらの曖昧な協議はイリュリア地帯の不安定化を招きセルビアとクロアチアの対立を不必要に煽った。結果的にセルビアとクロアチアは互いに牽制しあって第一次ユーゴスラビア紛争が勃発するに至った。