If歴史アナキスライヒ

　大戦後期、西部戦線は完全に膠着した。両軍は熾烈な塹壕戦をくり広げ、一進一退の攻防を続けた。そんな中フランス軍上層部で連合国軍総司令官のフェルディナン・フォッシュはドイツの革命やボリシェヴィキ対応策などでジョルジュ・クレマンソーと対立していた。市民も、長引いた戦争に嫌気がさしており、戦争終結派によるデモが毎日のように行われていた。しかし、レオン・ブルムやピエール・ラヴァルを始めとするフランス人民戦線はドイツに対して継続的な攻撃を主張し、右派社会主義の実現を目指して民衆を扇動した。
　ピエール・ラヴァルは戦争責任をユダヤ人のせいとして、戦争が長引く理由をユダヤ人によるドイツ援助と主張した。この演説で多くのパリ市民は地方とは対照して戦争継続派が多くとなるという反作用現象*1が発生した。

　このような状況の中で、ジョルジュ・クレマンソーら率いる中央政府はドイツ帝国ベルリン政府やザクセン政府と休戦協定を結ぼうとした。これに対して戦争継続を掲げるパリ市民は連合軍臨時司令部が置かれているヴェルサイユ宮殿を襲撃して、暴徒はジョルジュ・クレマンソーら首脳部を拘束して、書記長レオン・ブルムは1月7日にフランス・コミューンの建国を宣言した。その日のうちにパリ市全域はコミューン政府により占領され、フランス中央政府は中枢機能の麻痺に陥った。ポアンカレ大統領はリヨンに政府を移して抗戦を表明したことで、フランス内戦が始まった。
　一方でヴェルサイユ宮殿では党首であるブルムと、ラヴァルは政治的思想の違いから意見が対立した。ラヴァルは1月20日クレマンソー首相らと協力して、ブルムらに対してクーデターを起こした(プリュヴィオーズ1日のクーデター?)。ブルムはパリ郊外のフシュロールで不審死を遂げ、フランス・コミューン政府は中部ブールジュへと逃亡した。ラヴァルはフランス人民党を解党した上で、フランス労働者党を結成して、クレマンソーを大統領とする第四共和政を試行した。

　フランス情勢が深刻化し連合国側が劣勢になると予想したオランダでは、ドイツ侵攻を主張するウィルヘルミナ女王を処刑して、ユリアナ王女を傀儡とする立憲君主制国家を建国した。*2新生オランダ王国は対仏宣戦布告を議会で決定し、2月11日にフランス・ベルギーに侵攻した。この間にベルギーではオランダに強く反抗するフランス人やベルギー人がオランダ軍によって虐殺される事件が起こった。*3ドイツ軍によって生活が破壊されたベルギーや長期な戦争で疲弊したフランスはオランダの侵攻に対抗出来ず、ベルギーはコンゴを含む国のフランデレン地方、フランスはカレーやダンケルクのあるフランドル地方をオランダ軍によって占領された。これに併せてドイツ帝国はフランス・ベルギーでの騒動を受け、自身の占領地である東北部フランスでアーデネン公国?とブルグント公国?を衛星国として独立させた。こうしてフランス*4は自身の失った占領地を取り戻す機会を失った。